暖かな破局:第3部・削減を阻むもの/4 「石炭」増加、温暖化対策は後手
◇原発は不安定電源
二酸化炭素(CO2)の排出が少ない原発が世界的に見直されているが、国内では相次ぐ運転停止で「不安定な安定電源」となっている。排出削減が進まないと、電気料金にも影響が出る。
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20080307ddm002040023000c.html
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「地震被害もあったが、原発は安定電源だ」
2月25日、新潟県中越沖地震で被災し、運転停止中の東京電力柏崎刈羽原発を視察した米国電力研究所のモディーン顧問は会見で、原発の利点を強調した。だが、日本の実情は異なる。柏崎刈羽の停止などで07年の原発稼働率は64%と低迷。06年の70%は世界31カ国中27位で、インドやパキスタンを上回る程度だ。
電気事業連合会は、単位発電量当たりのCO2排出を90年度比約20%削減する計画だ。原発稼働率を87%程度に引き上げる必要があるが、日本の実績は最高でも98年度の84%。その後は、検査データ捏造(ねつぞう)などの不祥事や事故で低迷が続く。
電力業界の稼働率向上策が、定期検査の見直しだ。運転中に機器の一部を検査するなどし、2カ月程度かかる検査の短縮を狙う。原子力安全・保安院も、13カ月ごとに運転停止する現行検査制度を改正、最長24カ月の連続運転を認める方針だ。
しかし、検査間隔の延長には、原発の安全性を懸念する地元自治体の反対が根強い。新潟県の泉田裕彦知事は「命より電力供給を優先する方針とも受け取られかねない」と保安院に申し入れた。
一方、日本原子力技術協会によると、旧型原発は炉内の改修など大型工事がこれから必要で、検査はむしろ長引く。松下清彦理事は「長期停止の原発の早期再開が大事なのだが」と気をもむ。
目標達成のため、電力業界は5年間で1・2億トンの排出枠を買う計画だが、原発の稼働率が1%低下すると火力の代替発電で年間300万トンのCO2が増える。関係者は「数億トンに膨らまないか」と心配する。数千億円の取得費が電気料金に転嫁される恐れもある。
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90年度以降、発電で最も伸びたのが、石油や天然ガスよりCO2排出が多い石炭火力だ。70年代の石油危機後、資源確保と経済性を優先して石油から転換を進め、10%だった発電比率は06年度25%に上昇、逆に石油は29%から9%に低下した。一方で国内の電力会社の排出量は2億7500万トンから3億6500万トンに増えた。「電源立地は10年単位の長期計画。環境の変化に即応できない」(石炭エネルギーセンター)ため、温暖化対策では後手に回った形だ。
環境NGO「気候ネットワーク」は「石炭を天然ガスに替えれば、国内排出の5%に相当する6200万トンの削減が可能」と指摘するが、天然ガスは20年程度の長期契約が通例で急な対応は難しい。原油高騰と需要増で、輸入価格も5年で8割上昇した。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の石井彰・首席エコノミストは「10年ごろに相次ぐ契約更新では、さらに値上げを迫られる」とみる。
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1月には、CO2が少ない電力に限定した東京都の電力調達一般競争入札が不調に終わった。柏崎刈羽の停止で東電の排出量が悪化したためだ。原発に代わるグリーン電力不在がエネルギー政策を行き詰まらせている。【温暖化問題取材班】=つづく
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毎日新聞 2008年3月7日 東京朝刊
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