プルサーマル 信頼関係のサイクルも
中部電力浜岡原発4号機(静岡県御前崎市)のプルサーマル計画を、静岡県が受け入れた。だが、核燃料サイクルの明かりがともる以前に、地元にはまだ、不安と不信がくすぶっている。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2008030802093584.html
プルサーマルとは、発電所で使用済みのウラン燃料から放射性物質のプルトニウムを取り出し、ウランと混ぜて作った混合酸化物(MOX)燃料を再利用する計画だ。
エネルギー資源の乏しい日本では、使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルが「国策」と位置づけられている。電力業界は二〇一〇年度までに、十六-十八基の原発へプルサーマルを導入するとしており、受け入れに同意した都道府県に総額六十億円を交付する「核燃料サイクル交付金」が、〇六年度新設された。
一九九九年には福井県の関西電力高浜原発、〇六年には佐賀県の九州電力玄海原発、愛媛県の四国電力伊方原発が、それぞれ地元同意を得た。浜岡原発が前例の三件と決定的に違うのは、東海地震の想定震源域の真ん中にある点だ。
昨年七月の新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発が黒煙を上げる姿は衝撃的だった。それを機に、電力会社が地震を起こす断層を過小評価していたことが明るみに出て、住民の不安に拍車をかけた。
松江市は中越沖地震後、〇六年に二十五年ぶりに改定された国の新耐震指針に基づく再評価の結果が出るまで、島根原発へのプルサーマル導入の議論を中断させた。浜岡原発の地元は、再評価の結果を待たずに受け入れた。だからと言って、住民が電力会社を信頼し、安心しているわけではない。「国策」や交付金との板挟みに遭って「あきらめ」を口にする人も少なくない。
原発は、地震計が強い揺れを感知すると、制御棒が自動的に挿入されて停止するようにできている。静岡県の石川嘉延知事は同意に際し中電側に、現在一五〇ガル(震度5強程度)で停止する設定を、柏崎刈羽並みに、横揺れで一二〇ガル(震度5弱程度)以下に引き下げるよう要請した。電力会社が決める耐震性に自治体側が見直しを迫るのは珍しく、住民の強い不信と不安の表れだ。
原発には「隠ぺい」のイメージがつきまとう。徹底した安全確保と情報公開。住民側が望むことは、これに尽きるだろう。事業者側には、専門家ではなく住民側の目線に立ち続けてもらいたい。
信頼関係を深めなければ、核燃料サイクルの長い道のりは、また入り口で頓挫する。
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