反対団体激しい抗議 九電社長に面会求める 川内原発増設申し入れ
九州電力が川内原子力発電所3号機の増設計画を県と地元の薩摩川内市に申し入れした8日、県庁や市役所では、増設に反対している市民団体が激しい抗議活動を展開した。一方、地元経済界からは交付金による地域振興を期待し、増設を歓迎する声も上がった。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20090108-OYT8T00761.htm
九電の真部利応社長ら幹部は同日午後3時から、県庁の知事室で伊藤知事と面会した。
前日から県庁前で抗議の座り込みを続けていた市民団体「反原発・かごしまネット」のメンバーら約50人は、社長に公開質問状を手渡そうと正面玄関で待ち構えていたが、九電側は別の入り口から知事室に入った。それを知った同ネット側は知事室近くに詰めかけ、「社長はどこだ、知事を出せ」などと抗議。阻止する県職員と押し問答になった。
県は九電側に〈1〉住民説明会の開催〈2〉1、2号機の安全運転〈3〉県民の理解を深めるための積極的な情報公開を要求。伊藤知事は会談後「(原発への依存は)避けられない道であり、いかにしてコントロールしながら平和的に使うかが必要」との認識を示した。
社長は当初の予定を変更し、薩摩川内市役所にも訪れた。午後6時過ぎに市役所1階ロビーに到着すると、県庁から追ってきた同ネットのメンバーが「社長は帰れ」「原発はいらない」などと連呼。社長はメンバーや市職員らの間でもみくちゃになりながら市役所に入り、岩切秀雄市長と面会した。
同ネットの橋爪健郎代表は「原発増設という重要な問題で、どうして県民の声を聞かないのか。ルール違反だ」と憤った。
九電は2月上旬までに、薩摩川内、いちき串木野の両市で環境影響調査の内容を報告するため、また薩摩川内市に隣接する阿久根市などでも、それぞれ住民説明会を開く予定にしている。
◎地元活性化を期待安全性懸念の声も
九電側から増設計画の申し入れがあった薩摩川内市。景気後退に加え過疎高齢化が進む地域にとって、国からの交付金で図られる地域振興に期待する市民は少なくない。その一方、国内外の原発では事故やトラブルが相次いでいることから、安全性を懸念する声も根強い。
原発が建設、増設される自治体には、電源三法に基づく電源立地地域対策交付金などが支払われる。資源エネルギー庁によると、運転開始から35年が経過した年までに、同交付金計1000億円超が県と薩摩川内市などに入る。このほか市には固定資産税や建設による雇用拡大などの波及効果も生まれる。
川内商工会議所の田中憲夫会頭(71)は「安全性の確保と情報公開を守ってくれれば賛成。不況の風が吹いており、地域活性化のためにも推進したい」と歓迎。市内の60歳代の農業男性は「多額の交付金は市にとって魅力。安全な施設であるなら歓迎したい」と話した。市は増設を受け入れた場合の経済効果をまとめることを検討する。
一方、原発のトラブルが多いのも事実。2004年8月には関西電力美浜原発の配管破損事故で11人が死傷。07年7月には新潟県中越沖地震により東京電力柏崎刈羽原発で放射能漏れや変圧器の火災があった。
原発のトラブルは重大事故につながるだけに、反原発を唱える市民団体「川内原発建設反対連絡協議会」(鳥原良子会長)の遠嶋春日児・代表世話人(54)は「1、2号機よりも大きな原発だけに事故の被害も大きくなる。万全な施設でない限り建設すべきでない」と話す。市内の40歳代の主婦も「安全性の面から原発が三つもできるのは耐えられない」と危機感を募らせた。
(尾谷謙一郎)
(2009年1月9日 読売新聞)
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