オバマ政権方針 チェンジなし?原発政策 東芝など注視
地球温暖化防止の切り札として世界的に建設ラッシュが見込まれる原子力発電所。「原子力ルネサンス」と呼ばれるこの追い風を逃すまいと、日立製作所、東芝、三菱重工業の日本企業主導の3陣営に集約された原発メーカーの受注競争は熱を帯びる。ただ、米国の政権交代や金融危機が不透明要素として浮上。各陣営の計画に影を落とす可能性も出てきた。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200901200018a.nwc
◆世界で150基超建設
20日に就任するオバマ米新大統領のエネルギー政策を、世界の原子力関係者がかたずをのんで見守っている。最大の関心は「原発を推進するのかどうか」に尽きる。
「使用済み核燃料の安全確保対策が優先される」
昨年の選挙戦中、オバマ氏が口にした原発についての発言は原子力業界を不安に陥れた。「安全が完全に担保されないと原発建設は推進しかねる、とも解釈できる」(業界関係者)ためだ。
米国は1979年のスリーマイル島の事故以来、原発着工を凍結してきたが、石油依存からの脱却を掲げた現ブッシュ大統領が原子力推進に政策を一八〇度転換。原発推進にあまり積極的でなかった欧州も原発回帰の姿勢に転じ、現在では今後20年間に世界で150基以上の原発建設が見込まれるまでになった。原発1基の建設費は3000億~4000億円にも上り、その後の保守も含めればメーカーにとって安定的な収益源となるだけに、世界一の電力消費国・米国の動向は業績にも大きな影響が及ぶ。
オバマ新大統領は風力や太陽光など再生可能エネルギーには積極的だ。今後10年間に1500億ドル(約14兆円)を投じる構想も打ち出した。だが、原発については「積極的なのか消極的なのか、態度をはっきりさせていない」(同)。消極的だとすると、原子力ルネサンスに陰りが生じかねない。
◆資金難を懸念
ただ、東芝-米WH(ウエスチングハウス)、日立-米GE(ゼネラル・エレクトリック)、三菱重工-仏アレバの3陣営に絞られた原発グループは事業拡大の手を緩める気配はない。三菱重工とアレバは昨年末、中型炉の共同開発などに加え、燃料分野にも提携を拡大した。東芝は年明け早々、子会社WHが米プログレス・エナジー・フロリダから出力110万キロワット級の原子炉2基を受注した。同型原子炉の受注は、中国と合わせて10基に上る。
東芝の西田厚聡社長は「オバマ新大統領の温室効果ガス削減目標を達成するには、原発抜きということはあり得ない」と話す。2020年までに排出量を90年水準までに減らすには、太陽光よりも発電コストが安く、二酸化炭素(CO2)排出量がゼロの原発が本命になるとの見立てだ。さらに「選挙中の発言は、対立候補で原発積極派だったマケイン氏に対するさや当てだった」(別の業界関係者)との見方も広がる。
むしろ業界が懸念しているのは、金融危機の影響だ。事業計画の撤回、凍結といった大きな修正には至っていないが、電力会社の一部で資金調達に陰りが出始めているからだ。
昨年末、米電力大手のエクセロンがいったん決めた日立-GE連合の次世代沸騰水型軽水炉の採用を見送った。建設資金の調達で米政府の保証を得る条件が満たせなかったことが要因とされ、計画を見直している。金融危機がさらに深刻化すると、原発建設を計画している他の電力会社にも波及しかねない。原発メーカーは受注競争を繰り広げつつ、金融危機の動向に眼を凝らし始めている。(小熊敦郎)
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