『ふげん』解体進む 原発、廃炉の時代へ
国内五十五基の原子力発電所中十七基は運転開始から三十年を超す。このうち浜岡原発1、2号機について中部電力は昨年末、廃炉を決めたが、古い原発をどうするかが大きな課題だ。日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)では昨年二月から廃止措置を開始。“廃炉の時代”に備え、安全に使用済み核燃料を運び出し、設備・機器を解体撤去する技術開発に取り組んでいる。 (栃尾敏)
http://www.chunichi.co.jp/article/technology/science/CK2009012002000156.html
撤去まで20年
日本海に面した敦賀半島にある「ふげん」は出力十六万五千キロワット。一九七九年に運転開始、二〇〇三年に停止した。〇八年からは「原子炉廃止措置研究開発センター」に正式名称を変更。二八年度まで使用済み燃料搬出、原子炉周辺設備の解体撤去、原子炉本体の解体撤去、建屋解体-のステップを踏んで廃止措置を終える。
ふげんは一般的な百万キロワット級の原発に比べ小型。普通の原発が熱を取り出す冷却材に水(軽水)を使っているのに対し、重水を使用。原子炉の構造も、軽水炉にあるお釜のような「圧力容器」がなく、圧力管という二百二十四本の管が林立し、中に一体ずつ燃料がある。
同センター技術開発課長の森下喜嗣さんは「軽水炉はお釜の中の燃料をごそっと取り出せば、あとはお釜だけが残る。ふげんは燃料を運び出してもまだ管があるから、炉心がややこしい構造のまま残る」と、ふげん廃炉の特徴を話す。
材料も、軽水炉は主にステンレス鋼だが、ふげんはジルコニウム合金を使用。酸化しやすい、つまり燃えやすいため解体時の切断作業では軽水炉以上に注意が必要だという。
国内での廃止措置は、ふげんが初めてではない。原子力機構の前身・日本原子力研究所の動力試験炉(茨城県東海村)が一九九六年三月に解体撤去を完了。日本原子力発電の東海発電所(同)が二〇〇一年に作業を始め、一七年に完了する。
ふげんは三例目になるが、副所長の渋谷進さんは「ほかの炉は規模がもっと小さかったり、運転期間が短く放射能の蓄積が少なかったりする。東海はガス炉で、水炉とは構造や原理がまるで違う」と説明。今後の原発廃止措置には、ふげんでの知見がより役立つのでは、と話す。
リサイクルも
気になるのは、廃炉で出てくる放射性廃棄物。ふげんの廃炉で発生する廃棄物の量は三十六万一千八百トン。このうち三十五万二千トンは産業廃棄物として処分したり、送電鉄塔や路盤材(道路)などにリサイクルしたりする。残り一万トン程度を低レベル放射性廃棄物として処分する。「普通の原発でも同じで、発生量全体の2-5%が埋設処分する必要がある低レベル放射性廃棄物です」(森下さん)
日本は、使用済み核燃料を再利用するため化学処理する過程で発生する燃料の残りかすや溶液が「高レベル」放射性廃棄物で、それ以外はすべて「低レベル」扱い。ふげんでは炉心タンクの放射能レベルは高くて人が近づけない。周りを囲って水を張り、水中に沈めて遠隔操作のロボットで切断する。
低レベル放射性廃棄物は、放射能レベルで三つに区分する。最も低いレベル3は地下数メートルに埋める。比較的低いレベル2は地下数メートルにコンクリートピットを設けて埋設。高いレベル1は地下五十-百メートルに空間を設けて搬入し、埋設する。どこに処分するかはまだ決まっておらず、今後、公募することになるという。
ソフトが大事
廃炉措置で重要なのは「放射能レベルごとにきちんと区分けし、作業のシステム管理をうまくやるというソフトの部分です」と渋谷さんは話す。解体作業は既存の技術でできるが「放射能レベルが高い炉心を切り刻むのは未体験になる」。
廃止措置の費用は七百五十億円。管理課技術主幹の磯村和利さんは「炉心部分以外は改造工事と同じで特殊な技術はいらない。放射線管理技術のある企業なら対応できる。ふげんでも多くの地元企業が仕事をしている」と説明する。
<記者のつぶやき> 原発は六十年動かしても大丈夫という。でも補修や維持管理にかかる費用を考えると寿命は三十-四十年が妥当か。これから国内の原発は次々に廃炉の対象になる。廃炉ビジネスへの期待がある一方、廃棄物対策への取り組みが重要だ。
スポンサードリンク