志賀原発1号機、再稼働申し入れ
◆県と町に町長「早期に判断」◆
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臨界事故隠しで停止中の志賀原発1号機について北陸電力は19日、県と地元の志賀町に再稼働の申し入れをした。県と同町は24日から、1号機の安全性や再発防止策などを検討する会合を開くことを決めた。細川義雄町長は「できるだけ早く判断したい」としており、07年3月から2年間にわたって停止する1号機は、月内にも試験運転を開始する可能性が高い。
同町では19日午前9時半、松長賢(まさる)・北電原子力本部長(副社長)が町役場を訪れ、坪野高志・副町長に申入書を手渡した。松長本部長は、申し入れの理由として、臨界事故を受けた「隠さない風土づくり」などの安全文化が社内に定着した▽国の特別な定期検査が終了した▽耐震安全性が確認された、などを挙げ、「町との安全協定に基づいて再開について協議させてほしい」と要請した。
同日昼前には、永原功北電社長が細川町長を訪問し、「志賀町のみなさんに安心してもらえる発電所を目指していく」と再稼働への理解を求めた。細川町長は「議会とも相談し、住民の声を聞きながら検討したい」と答えた。
町は24日に議会全員協議会を開催。25日には原発が立地する赤住地区の役員らでつくる「赤住区委員会・安全推進連絡会合同会議」と、商工会など町の各団体代表で構成する「町志賀原子力発電所安全推進協議会」を開いて協議する。いずれも北電と原子力安全・保安院の担当者が出席し、説明する予定だ。
一方、永原社長は19日午前、県庁に山岸勇副知事を訪ね、1号機再稼働の申入書を提出した。県は24日に原子力環境安全管理協議会(安管協)を開き、再稼働問題を協議する。県議会も25日に総務企画委員会を開き、北電の参考人から説明を受ける。
谷本正憲知事は19日の3月定例県議会最終日の冒頭で、再稼働の申し入れがあったことを報告。「今後は安管協での検証、県議会での審議、地元住民の意向を十分にふまえ適切に判断したい」と述べた。
◇上告審で勝利を◇
=県平和運動センター声明=
志賀原発2号機運転差し止めを命じた一審判決を取り消した18日の控訴審判決を受け、県平和運動センター(柚木光代表)は同日、上告審での勝利をめざし声明を出した。「新耐震指針に合理性はなく、北陸電力の断層評価や耐震対策は不十分」などと指摘し、「(控訴審)判決は原発推進という国策に追随」と批判。2号機の運転停止や1号機の運転再開とプルサーマルの阻止をめざすとしている。
■志賀原発の臨界事故隠し発覚後の主な動き■
07年3月 1号機の臨界事故隠しが発覚。1号機停止
同 能登半島地震(M6.9)が発生。志賀原発で想定を超える揺れ
同 6月 志賀町に原子力本部、金沢市に地域共生本部を新設
同 7月 新潟県中越沖地震(M6.8)が発生。柏崎刈羽原発で想定を超える揺れ
08年3月 北電が新耐震指針による2号機の耐震安全性評価の中間報告を提出
同 2号機が1年9カ月ぶりに運転再開
09年1月 1号機の耐震補強工事を終了
同 2月 原子力安全・保安院、原子力安全委員会が相次いで2号機の耐震性の再評
価を「妥当」と判断。
同 3月 北電の再発防止対策検証委員会が「防止策は100%完遂」と報告
同 1号機の運転停止中に受けるべき特別な定期検査が終了
同 2号機の運転差し止め訴訟控訴審で北電側が逆転勝訴
◇不信感は消えたか◇
=町は民意把握に自信=
1号機の再稼働を申し入れた北電の永原功社長らは19日、受け入れのカギを握る「住民の理解」について自信を見せた。一方、志賀町は受け入れにあたって議会、地元赤住地区役員、町の各種団体代表の意見を開いて判断する予定だが、町民からは「臨界事故を起こした1号機の再稼働受け入れは2号機の時とは違う」と慎重な対応を求める声が出ている。
永原社長は報道陣に対し、「昨年あたりから志賀町で『2台ある原発が両方とも動くという正常な形にしてほしい』という声が聞こえてきた」と語った。
臨界事故隠しは93年に1号機が営業運転を始めてから最大の不祥事だ。07年3月に発覚すると、町議会をはじめ区長会や漁協など町内の多くの団体から抗議が相次いだ。こうした原発への不安や北電への不信感は2年間の信頼回復策で消えたのだろうか。
町は昨年3月の2号機再稼働受け入れでは、わずか6日間で結論を出した。今回も同じ手順を踏み、最終的には細川義雄町長が判断して谷本正憲知事に伝える予定だ。細川町長は「もっと広く意見を聞く気はないか」という報道陣の質問に「(全町でやった)町政懇談会など、折にふれて聞いてきた」と民意の把握に自信をみせる。
これに対し、志賀原発2号機運転差し止め訴訟原告の住民は「会合は辛口の意見を言う人もいない“儀式”。これだけで住民を納得させるやり方はおかしい」と批判している。
(大畠正吾)
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