【from Editor】原発運転再開に望むこと
産経の記者だけでなく、共同、時事といった契約通信社の原稿にも目を通しながらニュース価値を判断していくのが編集長の日常だが、実は耳から入ってくる情報も聞き逃せない。編集局には共同通信の音声ニュースが頻繁に流れる。アナウンス前にピーと鳴る通称「ピーコ」。これが鳴るたびに自然に耳が向く。
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/090426/env0904261057000-n1.htm
「新潟県の泉田裕彦知事が運転再開を容認しました」。今月7日の編集長当番の日。中越沖地震で運転を停止したままの東京電力・柏崎刈羽原子力発電所7号機の運転再開を知事が認めた、という情報が耳に飛び込んできた。被災してからおよそ1年9カ月ぶりの再開容認表明である。
発電出力約135万キロワット。7号機は原発としては世界最大級だ。これ1基で日本全体の原発の発電量の3%をまかなう。復旧が順調に進み、残る1号機から6号機も稼働することになれば出力は合わせて800万キロワットを超え、年間3000万トンものCO2が削減できる。太陽光などと比較にならないクリーンエネルギーでもある。
にもかかわらず、容認にここまで時間がかかったのは、震源域で初めて原発が被災したことへの地元の不安だ。「止める」「冷やす」「閉じ込める」という原子炉の安全性は揺るがず、逆に原子炉の耐久性の強さを実証したとも言えるが、敷地内で昨年来起きている火災なども重なり、東電への不信感が消えたわけではない。
とはいえ、今回の容認発言の持つ意味は大きい。2020年をめどにCO2を排出しない「ゼロ・エミッション電源」比率を5割以上に引き上げる政府の計画は、原発増加が前提だし、柏崎刈羽の再稼働で原発の信頼が回復すれば、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを軽水炉の燃料とするプルサーマル計画にも弾みがつく。
編集長当番でいつも驚かされるのは環境、エネルギー関連情報が日増しに多くなっていることだ。オバマ米政権が温暖化対策に本腰を入れ、世界中が景気刺激策に環境を掲げて、自然エネルギーや原子力の導入促進に拍車を掛けているのは、外電の量に明らかである。欧米の野心的ともいえる動きに比べ、日本の動きは鈍い。
それだけに今回の再開容認は東電にとってだけではなく、原発が今後の「低炭素社会」の先導役を担う点でも、意味は大きい。すでに柏崎市、刈羽村も再開には前向きと聞く。安全性、信頼向上を絶対的な担保にした運転再開が急務だろう。(編集長 鶴田東洋彦)
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