柏崎刈羽原発:運転再開、知事が条件付き容認(その1) /新潟
◇「安全確保へ改善継続を」
中越沖地震での被災から1年10カ月。泉田裕彦知事は7日、東京電力柏崎刈羽原発7号機の運転再開に「安全性の改善継続」の条件を付けてゴーサインを出した。東電は泉田知事からの同意を8日に受けて起動試験の準備を開始。9日には原子炉から制御棒が引き抜かれ、臨界に達する見通し。【五十嵐和大】
http://mainichi.jp/area/niigata/news/20090508ddlk15040153000c.html
◇「行政が完全に保証できず」
県議会全員協議会で泉田知事は、原発について「現在の生活水準を維持するエネルギーを確保するためには、原発と共生せざるを得ない」との認識を述べた。しかし、4月10日の3者会談で、結論先送りの理由とした「多岐にわたる論点」をどう整理したのかは明らかにしなかった。
泉田知事は、地震後9件に及ぶ火災を起こした東電について「原発を運営する事業者としてお粗末」と厳しく批判したが、原発の安全性については「おおむね確保されていると受け止めた」との言葉を繰り返した。
一方で「行政が安全を完全に保証することはできない」とも述べ、地元自治体の原発依存を理由に「当面は共存すべきではないか」と結論付けた。
また、一定の条件付きでの同意であることを強調し、「常に改善を継続することが求められる」と言及。起動試験の途中経過と最終結果を県の技術委員会に諮るよう、東電側に改めて念を押した。
全員協議会終了後、決断に至った理由を問う記者団に、泉田知事は「議会でご説明した通り。一言では言い表せない」と述べた。
◇推進派「本来の姿に」/反対派「説明不十分」
泉田裕彦知事が柏崎刈羽原発7号機の起動試験に同意したことを受け、会田洋柏崎市長は「まだ試験の一環。地元自治体として安全を確認するステップがいる」と述べた。また、4回にわたった3者会談で合意できなかったことも振り返り「なかなか共通の認識に立てなかったが、(知事は)県全体を見渡して判断したのだろう」と推し量った。
品田宏夫刈羽村長は「時間はかかったが、至極、真っ当な結論だ」とコメント。知事が決断したプロセスについては「『多岐にわたる論点』というのは私には分からないが、結論を出されたのだから、それはそれでいいのでは」と語った。
経済、雇用への影響を訴え、知事に早期再開を要望してきた柏崎商工会議所の松村保雄会頭は「柏崎がやっと本来の姿に戻れる。(国が2月に)安全を確認したのだから、遅過ぎたくらいだ」と話した。
一方、原発反対地元3団体は「『多岐にわたる論点』をどう整理したのかの説明もなく、不十分だ」と知事の再開容認表明を批判し、原発周辺の活断層や一部設備の耐震性についての真相解明を求める抗議声明文を県に送った。【五十嵐和大】
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◇知事の発言要旨
県議会全員協議会での泉田裕彦知事の発言要旨は次の通り。
【原発に対する所見】
原発も人が造ったものである以上、完全無欠はあり得ず、行政が完全な安全性を保証することはできない。
現在の生活水準を維持するエネルギーを確保するためには、原発と共生せざるを得ない現実がある。原発に賛成の方も反対の方も安全の確保が何にも増して必要という点では全く違いはないと思う。
異なるのは安全確保の程度、方法論。現時点の日本において、安全を確保するためには、仮に原発は造るべきでないという立場に立って柏崎刈羽原発の廃止をしても、日本国内に原発がある限り、事故や放射線のリスクを回避できず、問題の解決にはならない。
当面、県は原発と共存する道を選択すべきではないかと考えている。この選択をする以上、行政は原発の安全確保に大きな責任を負うことになるという自覚を持ち、原発の安全性を高めていく不断の努力と政策を実施することが不可欠と考える。
安全確保のためには日々進歩していく人類の知見と科学技術に合わせて常に改善を継続していくことが必要であり、そのことが県民の信頼につながる。
改善すべき(国の)制度として、個人の責任追及より不断の安全性の向上を促す仕組みの構築が重要ではないか。この点、国に対応を求めていきたい。
【7号機の安全性について】
今回、基準地震動が引き上げられたことにより、現在の知見で予想しうる最大級の地震を想定した対策が取られたものと理解した。耐震性には十分な冗長性が認められ、おおむね安全が確保されているとの説明には説得力があると受け止めた。起動試験から営業運転に移行するに際して、技術委員会の審議を経ることなど一定の条件を付したうえで、東電からの運転再開申し入れに同意をしたいと考えている。
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