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チェルノブイリ原発:「再臨界で事故拡大」安全担当者証言

 旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発事故(86年4月26日)の際、最初の爆発から約18時間後に再び臨界事故が起こったと、当時の安全担当者が証言した。壊れた原子炉の周辺に残っていた核燃料が、再び核分裂反応が持続する臨界状態となったという。過去最悪の原発事故で、被害が拡大した過程を考える上で、注目されそうだ。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090609k0000e040087000c.html

 事故から23年がたつのを機に、京都大原子炉実験所の今中哲二助教(原子力工学)が、当時の核安全課副主任のニコライ・カルパン氏(62)=キエフ市在住=から聞き取り、回想記の執筆を依頼していた。

 回想記によると、事故当日の朝、カルパン氏が発電所に駆けつけ制御室の計器を見ると、原子炉の核反応のブレーキ役となる制御棒が半分しか挿入されていなかった。また、原子炉には中性子を吸収して核反応を抑制する原子「キセノン」があったが、この原子は時間とともに減っていくことから、「このままだと臨界事故になる」と、反応を抑制する物質であるホウ素の投入を上司に進言。状況把握のためにヘリコプターや装甲車の出動を提案したという。

 カルパン氏は爆発事故から18時間後の臨界について「断続的な爆発音とともに火災が発生した。建屋の上部で内側からルビー色の光が立ち上がった。それから光と炎がわきあがって、間欠泉のように揺らめいた」と説明した。この後にガンマ線量が10倍に増え、核分裂反応で放出される中性子線も検出されたとし、臨界事故だったと指摘している。また、臨界状態は約9時間続いたとした。中性子線は生物に有害で、被害を拡大させた可能性もある。

 今中助教は「再臨界の指摘は重大だ。同時に、証言がどの程度確かなのか、事故全体の経過や他の証言との整合性を検討する必要がある」と話している。

 回想記全文は、http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/karssh.pdfに掲載している。【大島秀利】

 【ことば】臨界

 原子核の分裂が連続して起こる状態。原発の燃料のウランは中性子が衝突すると核分裂し、新たに複数の中性子を放出する。それが周辺のウランとぶつかって連鎖反応し、エネルギーを出す。原子炉内では、生成される中性子を制御棒に吸収させて制御し、出力を調整している。制御が利かなくなった状態が臨界事故。国内では99年9月、核燃料加工会社JCO東海事業所(茨城県)で、作業員2人が死亡する臨界事故が起きている。

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