プルサーマル足踏み 北電・志賀原発
九州電力の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)で、国内初の営業運転が始まったプルサーマル発電。北陸電力も志賀原発(石川県志賀町)で2015年度までの導入を目指すが、全国で唯一、地元に協議の申し入れもできていない。11月には2号機をトラブルで停めて地元に不信感が広がり、導入へのハードルも高まっている。(舩越紘)
http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000912140002
「安全運転」遠く
地域理解に壁
「『志賀の発電所を安定運転して安心させて欲しい』というのが前提にあり、なかなか言い出せていない」
10月末にあった北陸電力の決算会見で、プルサーマル発電に関する地元への申し入れ時期について質問された永原功社長は、こう話した。
電力業界は当初、「2010年度までに全国16~18基でプルサーマル導入」を目指したが、東京電力でトラブル隠しが発覚するなどした影響で計画は大幅に遅れた。資源エネルギー庁によると、地元の了解を得ているのは7原発の計8基。これから10年度までに導入が予定されるのは四国、中部、関西の3社にとどまる。業界は今年6月に計画を見直し、導入のめどを15年度まで延ばすことを決めた。
北電も10年度までに導入する予定だったが、07年3月に発覚した1号機の臨界事故隠しや2号機の差し止め訴訟などで、足踏みが続く。同社も導入が5年先延ばしとなったが、「事実上、不可能だった計画が現実的な目標となった」と前向きに受け止める反応が多い。
ただ、目標到達も容易ではない。他社の場合、地元への申し入れから運転まで5年半ほどかかっている。
九電では、国に許可を申請し、地元との安全協定に基づいて佐賀県と玄海町に事前了解を申請したのが04年5月。公開討論会や各戸訪問など、地元の了解を得る取り組みを重ね、国の許可は05年9月に出たが、県と町が計画に同意したのは06年3月だった。
玄海原発では重大事故はなく、地元との関係も比較的良好という。説明会は計470回、講演会やイベントは計37回が開かれたが、九電の担当者は「回数だけでなく、分かりやすい言葉で納得してもらうことが重要」という。
北電も同様の経過を踏むとみられ、15年度までに導入するには10年度中に申し入れができるかが鍵とみられる。
だが、11月には定期検査中の2号機で、非常用ディーゼル発電機に潤滑油漏れが見つかり、保安規定により原子炉を手動停止するトラブルが起きた。北電が1号機と2号機を同時に営業運転したのは09年5~7月の約2カ月間だけで、「安定運転」にはほど遠いのが実態だ。
一方、地元への申し入れを前に、反対派住民の動きも出てきた。7月には、北陸3県の市民グループなどが計画中止を求める団体を結成。2号機運転差し止め訴訟の堂下健一原告団長(55)は「多くの住民はプルサーマルが何かよく分かっていない。他の団体とも連携して取り組みたい」と話している。
【キーワード】
プルサーマル 原発から出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工して、再び原発の燃料として利用するシステム。プルトニウムと軽水炉を意味する言葉をつなげた造語。資源の有効利用や核兵器の原料になるプルトニウムを余分に持たない手段として国が推進。1995年の原子炉「もんじゅ」の事故でプルトニウムを燃やす高速増殖炉計画が行き詰まったことが、プルサーマル計画を進める大きな理由となった。ただ、燃やしたMOX燃料の処分方法は決まっておらず、安全性や経済性を疑問視する声も多い。
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