’10記者リポート:「原発高齢化時代」の課題 国内初、40年超運転へ /福井
◇原電敦賀1号機・関電美浜1号機
2010年、福井県内の2基の原発が、国内で初めて40年を超える運転を予定している。日本原子力発電敦賀原発1号機(敦賀市)、関西電力美浜原発1号機(美浜町)。本格的に到来した「原発高齢化時代」の課題を探った。【酒造唯】
http://mainichi.jp/area/fukui/news/20100111ddlk18040135000c.html
◇トラブル相次ぎ、後継機も見えず 市民団体、安全へ「寿命法制化を」
「今後10年間(の運転延長)が技術的にどうかという判断を(国に)していただくわけですから……」。今月5日、新年のあいさつに福井県内の各自治体を訪れた関電の森詳介社長は、美浜1号機の運転期限について改めて明言を避けた。
後継の3号機が運転を開始する16年に廃炉が決まっている敦賀1号機とは違い、美浜1号機は後継機の計画が具体化しておらず、止めるかどうかすら決まっていない。地元の美浜町では、経済効果への期待から後継機を望む声も強い。町議会は01年、4号機の増設を求める陳情を採択したが、森社長は「答える状況にない。(増設は)1号機の運転とリンクするものではない」とかわした。
原発の“延命”に、一方の福井県は慎重な立場を崩さない。原電が敦賀1号機の延長を申し入れてから1年弱が経過した8日、同社の森本浩志社長が県庁を訪れたが、西川一誠知事は「県の判断は他の全国の高経年化原発にも影響を与えるので、慎重に判断する必要がある」と述べ、引き続き回答を留保。4日の年頭の記者会見で「(運転延長に)大きな障害はないと考えている」と、事実上延長を容認した敦賀市の河瀬一治市長も、この日は「今後県としっかり話したい」と述べるにとどまった。
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原発の高齢化は安全面にどんな影響を及ぼすのか。国は、30年を超える原発に対して、最長60年の運転を仮定した上で、事業者にその後10年間の対策を盛り込んだ評価書を10年ごとに提出させ、認可を受けることを定めている。
しかし、08年11月に定期検査に入った敦賀1号機は、期間中に10件もの不具合やトラブルが見つかった。運転開始から39年間、1度も点検しなかった配管が減肉ですり減り、厚みが国の基準を満たさなくなった例などもあった。定検終了は4回も延期され、8日にようやく終了したが期間は428日に及び、敦賀1号機としては過去2番目に長くなった。
一方の美浜1号機。40年超運転を地元に伝えた直後の昨年11月6日、制御棒駆動装置の異常で予定していた原子炉起動を延期。7日後には出力の乱高下で発電を停止するトラブルも起き、延長の申し入れに水を差した。
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そもそも、60年という寿命が法律で決まっているわけではない。原発の寿命は建設時、30年~40年とされてきた。資源エネルギー庁が96年にまとめた「60年運転が可能」とする文書が根拠だ。原子力安全・保安院の石垣宏毅・高経年化対策室長は「当時多くの原発が30年に近くなったので、技術的に無理のない範囲として倍の『60年』になった」と説明。実際の寿命は、「未来永劫(えいごう)運転するわけではなく、60年を超えればどこかに寿命があるとは思うが、最後は事業者が経済性で判断すること」と述べる。
原発の新規立地が難しくなったことも背景にある。NPO「原子力資料情報室」のまとめでは、立地計画を断念したのは石川県珠洲市などこれまでに全国で20カ所に上る。
保安院によると、世界最高齢の原発は英国のオールドベリー原発で43年。今後10年間で、国内では18基が40年超運転に入る見込み。ほとんどが美浜1号機と同じく後継機が決まっていないケースだ。
同NPOの西尾漠・共同代表は「原発の延命は、安全性ではなく別の要因で決まっている。世界的にも経験はなく、予想できないトラブルが起こる可能性がある。法律できちんと寿命を決め、超えた場合は安全審査をやり直すぐらいのことをしなければならない」と話している。
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