上関町議選告示 原発巡り17人論戦
上関町議選(定数12)は9日に告示され、17人が立候補する激戦となった。定数を5人以上オーバーする乱立気味の選挙は1990年以来、20年ぶり。中国電力の上関原子力発電所建設計画への賛否を巡り、町は二分される形となり、議会も推進派と反対派が厳しく対立してきた。「原発で地域振興」「脱原発の町づくりを」。候補者たちは多数派形成への思惑も込め、支持を求めて声をからした。
(三輪節生、上遠野郷)
http://mytown.asahi.com/yamaguchi/news.php?k_id=36000001002100003
■ 推進派 「振興のため」
■ 反対派 「自分の足で」
候補者の内訳は、新旧別では現職10人、元職1人、新顔6人。党派別では共産1人のほかは無所属。原発に対しては推進派が11人、反対派6人とみられ、直前まで立候補の準備をしていた反原発の立場の現職は立候補を断念した。
原発立地交付金や中電からの寄付金も頼りに町づくりを進める町政にとり、円滑な行政運営には議会の協力が重要だが、有権者5184人だった計画浮上後初の1986年の町議選(定数18)は25人が立候補。推進派11人、反対派7人が当選した。その後の選挙では2002年に2議席差に最接近したものの、いずれも推進派が多数を占め、議会運営の主導権を握ってきた。
この日の推進派候補たちの出陣式でも、「原発誘致がストップしたら町の財政は成り立たない」「昨年末に原子炉設置許可申請が出されたが、町づくりはこれから。引き続き仕事をさせてほしい」などと町政と一体とも言える主張が目立ち、それぞれが支持を訴えた。
これに対し、「反原発」を掲げる6人の候補者たちのうち、5人の候補者が合同出陣式を開き、「膨大な交付金が町に落ちたが、どの産業も衰退するばかり」「自然や歴史を大切にして原発に頼らず自分の足で立つことが大切」などと強調。「みんなが反対しているからこそ、ずるずる時間がかかっている」と建設計画の遅れの背景も指摘し、定数が12となった今回、全員当選で町政への影響力確保を狙う。集まった支持者らも「新しい針路を示す時だ」と力を込めた。
■ 有権者の心情複雑
こうした長年続く原発を巡る意見の対立に有権者の気持ちも複雑だ。推進派の候補を支持する70代の女性は「原発争点の選挙は今回が最後になってほしい」と言う。計画浮上時は大きな産業が生まれると期待したが、計画は長引き、2人の息子は故郷を離れた。「今から『町が発展する』と言われてもねえ」と漏らした。反対派という80代の男性は「金があっても住民の気持ちはばらばら。今のままでは町づくりなんてとても無理」と現状を憤った。
また、「ずっと原発ばかりが争点になり、文化や人材育成がすっかり遅れた。今回は教育にしっかり取り組んでくれそうな人を選ぶ」と声をひそめる男性もいた。
原発計画は、中電が昨年末に原子炉設置許可を国に申請するなど建設が現実のものとなっている。町によると、今年度から5年間に原発立地地域特別交付金として25億円が見込まれ、建設されると1基あたり約72億円の交付金も入る予定だ。
開票は14日午後8時から。有権者数は8日現在で3280人(町選管調べ)。
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